ECサイトのオウンドメディアの始め方7ステップ!成功のコツも紹介
「最近、サイトからの集客が伸び悩んでいる」
「広告費が高騰して費用対効果が悪化している」
「大手ECモールへの依存度が高くて将来が不安」
ECショップを運営していると、こんな壁にぶつかることはありませんか?
EC市場の競争が激しくなるなか、同じような課題を抱える企業はたくさんあります。
そんな悩みの解決策として、今「オウンドメディア」が大きな注目を集めています。

オウンドメディアは、広告に頼らない集客の仕組みを構築する、いわば「自社で持つ資産」となるメディアです。
「ECサイトでオウンドメディア?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。
しかし、現代の購買行動の変化やデジタル環境の移り変わりを考えると、ECサイトが自社で情報発信力をつけることは必須だと言えます。
オウンドメディアは、商品を販売するだけでなく、顧客との接点を増やすことで関係性を築き、ブランド価値を高めるための手段です。
- ECサイトはオウンドメディアをやるべきなのか
- オウンドメディアの始め方
- ECオウンドメディアが特に有効なジャンル
- オウンドメディアを持つメリット・デメリット
- ECサイトのオウンドメディア成功のコツ
- オウンドメディア運用時の課題と乗り越えるためのヒント
「ECサイトにオウンドメディアって本当に必要?」そんな疑問にお答えします。
この記事を読めば、注目される理由から具体的な始め方、成功のコツ、そして運用でつまずきがちなポイントまで、まるっと理解できます。
読み終える頃には、自社メディアを立ち上げて、持続可能なECビジネスを構築するための具体的な道筋が見えてくるはずです。
本記事の執筆者


福田 卓馬
EXTAGE株式会社 代表取締役|上場企業を含むSEO担当社数は30以上|出版書籍『文章でお金持ちになる教科書』『Webライターが5億円稼ぐ仕組み』
なお、EXTAGE株式会社では、多くの実績を出してきたSEOのプロ集団が在籍し、サイトの立ち上げから運営、リニューアルまでSEOに関するすべての悩みを解決します。
SEO対策でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
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ECサイトはオウンドメディアをやるべきなのか?


ECサイトの成長戦略として、オウンドメディアの重要性が高まっています。
オウンドメディアとは、ECサイト運営者が所有し、管理するブログやSNSなどのことです。
ECサイトを運営する上で「オウンドメディアは本当に必要なのか?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。
結論から言えば、ECサイトこそオウンドメディアを積極的に活用すべきです。
オウンドメディアは、広告依存からの脱却や、顧客との長期的な関係構築、潜在顧客へのアプローチ強化につながります。
コンテンツは一度作れば自社の資産となり、継続的な集客とブランド価値の向上につながるからです。
特に、購入意欲が明確な「今すぐ客」だけでなく、情報収集段階にある「潜在顧客」層にアプローチできるメリットがあります。
まずは、この4つのポイントをスッキリさせておきましょう。
- ECサイトとオウンドメディアの違い
- ECでオウンドメディアが注目される理由
- ECサイトにおけるオウンドメディアの役割
- ペイドメディア・アーンドメディアとの違い
一つずつ詳しく解説します。
ECサイトとオウンドメディアの違い
ECサイトとオウンドメディアは、どちらも企業が所有するウェブ上の媒体です。
ECサイトの目的が「商品の販売」であるのに対し、オウンドメディアは「有益な情報を発信してファンを育てること」が目的という違いがあります。
ECサイトは、商品ページや決済機能、カートシステムなどがあり、まさに「お店」のような役割を果たす場所です。
一方でオウンドメディアは、顧客にとって役立つ情報を届けて、ブランドを知ってもらい、信頼してもらうといった営業担当のような役割があります。
ECサイトが「今すぐ客」にアプローチするのに対し、オウンドメディアは「まだ購入には至らないけれど、情報収集をしている潜在顧客」との関係を築いていきます。
ECでオウンドメディアが注目される理由
ECサイトでオウンドメディアが注目される背景には、消費者の購買行動の変化があります。
近年は、一方的に広告を見るだけでなく、インターネットを使い、自分で情報を収集し比較検討した上で商品を購入するのが当たり前の時代です。
このような状況で、企業からの一方的な広告の効果は薄れてきています。
そのため、消費者にとって価値のある情報を提供することで興味を持ってもらい、購買につなげる手法が重要視されるようになったのです。
これをコンテンツマーケティングと呼びます。
ECサイトにおけるオウンドメディアの役割


オウンドメディアの主な役割は、すぐには商品を購入しない「潜在顧客」を将来の顧客に育てることです。
ECサイトだけでは、購入意欲の高い層にしかアプローチが難しいという課題があります。
しかしオウンドメディアがあれば、商品の使い方や選び方、お役立ち情報などを発信し、まだ購入を考えていない段階の顧客とも接点を持つことが可能です。
有益な情報を提供し続ければ、読者は自社サイトやブランドに親近感を抱き、信頼を寄せるようになります。
そうすると、いざ商品が必要になった時に「あのお店のサイトで買おう」と思い出してもらえるのです。



このように、オウンドメディアはECサイトの集客の幅を広げ、顧客との長期的な関係を築く役割を担っています。
さらに詳しい内容ついては「【完全網羅】オウンドメディアを運用する目的5つ!役割・始め方・注意点まで徹底解説」で解説しているので、読んでみてください。


ペイドメディア・アーンドメディアとの違い
マーケティングで活用されるメディアは、オウンドメディアの他に「ペイドメディア」と「アーンドメディア」があり、これら3つを合わせて「トリプルメディア」と呼びます。
それぞれの役割と違いを理解しておきましょう。


オウンドメディア
自社で所有・運営するメディアのことです。
ECサイト自体や自社ブログ、SNSの公式アカウントなどが含まれます。
オウンドメディアは、発信する情報を自由にコントロールできるのが特徴です。
ペイドメディア
費用を支払って広告を掲載するメディアを指します。
主な媒体はテレビCMやWeb広告、雑誌広告などです。
ペイドメディアは、不特定多数に広く見てもらえるため、即効性が高いメリットがあります。
アーンドメディア
アーンドメディアとは、第三者が情報を発信するメディアのことです。
企業がこのメディアを通じて消費者からの信頼や評判を「獲得する(earn)」ことから、このように呼ばれます。
個人のSNS投稿やブログでの商品レビュー、ニュースサイトでの紹介記事などです。
企業側でコントロールはできませんが、消費者からの生の情報であるため、大きな影響力があります。
ECサイトのオウンドメディアの始め方7ステップ


ECサイトでオウンドメディアを立ち上げることは、中長期的な集客やブランディングにおいて有効です。
しかし、闇雲に進めても期待する成果は得られません。
ここでは、ECサイトのオウンドメディアを成功させるための具体的な7つのステップを解説します。
- メディアのコンセプトと目標を明確にする
- ターゲットとなるペルソナを設定する
- 構築方法を決める
- キーワードを選定する
- コンテンツの骨子を作成する
- 記事を執筆・公開し記事数を増やす
- 効果測定と分析に基づく継続的な改善活動
一つずつ着実に進めていきましょう。
なお、オウンドメディアの立ち上げ方については「【もう悩まない】オウンドメディア立ち上げ完全ロードマップ!費用相場や成功事例を解説」を参考にやってみてください。


1.メディアのコンセプトと目標を明確にする
最初に「誰に、何を伝えて、どうなってもらいたいか」といったメディアのコンセプトを明確にしましょう。
コンセプトが曖昧なまま進めると、記事の内容に一貫性がなくなり、誰にも響かないメディアになってしまいます。
例えば、オーガニックコスメを扱うECサイトだと、以下のようなコンセプトです。
コンセプト
肌に優しいコスメの選び方やスキンケア方法を発信し、健やかな肌になる喜びを実感してもらう
その上で「1年後に月間3万PVを達成し、メディア経由で毎月50件のトライアルセット購入につなげる」といったように、具体的な数値を盛り込んだ目標(KPI)を設定します。
KPIの例
- PV数
- ユニークユーザー数
- 記事からのコンバージョン率
- 検索順位
さらに、顧客が商品を認知し、興味を持ち、購入に至るまでの行動プロセスを可視化したカスタマージャーニーマップを作成すれば、各段階でどのようなコンテンツが必要かが見えてきます。
カスタマージャーニーとは、ペルソナが商品やサービスを認知してから購入に至るまでの行動や心理の変化を時系列で表したもの
2.ターゲットとなるペルソナを設定する
次に「誰に向けて情報を発信するのか」を明確にするため「ペルソナ」を設定します。
ペルソナとは、ターゲットとなる顧客像を具体的にイメージしたものです。
例えば、以下のようなものを想定します。
- 年代や性別
- 職業
- 家族構成
- どんな悩みを抱えているのか
- 普段どのような情報収集をしているのか
- 商品購入に至るまでの心理状況
このように、より深い情報まで設定しましょう。
具体的にペルソナを設定すれば、テーマや内容、文章のトーンなど、一貫性を持って読者に響くコンテンツを作成しやすくなります。



漠然とした「ターゲット層」ではなく「目の前の誰かの悩みを解決する記事を書く」という意識を持つことが大事です。
より詳しいペルソナ設定については「ブログ記事におけるペルソナ設定の重要性と作り方【簡単3ステップで解説】」を参考にしてください。


3.構築方法を決める
オウンドメディアのコンセプトとペルソナが固まったら、次にどのような形で構築するかを検討します。
主な方法としては、以下の3つが一般的です。
立ち上げ方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ECシステムのブログ機能(Shopifyなど) | ・手軽に始められる ・ECサイトとの連携が容易 ・追加コストが少ない場合がある | ・デザインや機能の自由度が低い ・高度なSEO対策が難しい |
新たにサイトを立ち上げる (WordPressなど) | ・デザインや機能の自由度が高い ・SEO対策を細かく実施できる ・プラグインで機能拡張可能 | ・設定や運用に専門知識が必要 ・サーバー費用などがかかる |
外部ブログサービスを利用(noteなど) | ・無料で始められるものが多い ・専門知識が少なくても運用可能 ・サービスによっては集客力がある | ・独自ドメインが使えない可能性 ・デザインの自由度が低い ・SEO効果がECサイトに直接紐づきにくい |
特に人気なのは、カスタマイズ性が高くSEOにも強いWordPressです。
豊富なテーマやプラグインを活用すれば、専門知識がなくても比較的自由にサイトを構築・運用できます。
また、既存のECシステムにブログ機能があれば、ECサイトとオウンドメディアの連携がスムーズで、顧客を商品ページへ誘導しやすいのもメリットです。
予算や運用体制などを考慮し、自社にあった方法を選びましょう。
4.キーワードを選定する
次にどのようなキーワードにするかを決めます。
コンテンツを作成する上で、キーワード選定は非常に重要です。
ペルソナがどんな言葉で検索するかを想像し、対策キーワードをリストアップします。
オウンドメディアを立ち上げたばかりのサイトは、まだドメインパワー(SEOの評価)が弱い状態です。
そのため「化粧品」のような短くてビッグなキーワードでは、大手企業や既存の強力サイトと真っ向勝負になり、検索上位に表示されるのは難しくなります。
従って「乾燥肌 40代 化粧水」といったロングテールキーワードを狙いましょう。



ロングテールキーワードは、検索ボリュームは少ないものの、競合が少なく上位表示を獲得しやすいです。


ただし、ECサイトとオウンドメディアでは、狙うべきキーワードが異なることを理解しておきましょう。
ECサイトで狙うべきキーワード
ECサイト本体で主に狙うべきなのは、購買意欲の高いユーザーが検索する「Buyクエリ」や、特定のサイトやブランドを検索する「Goクエリ」と呼ばれるキーワードです。
例えば「商品名+通販」「ブランド名+公式」「商品ジャンル+おすすめ+比較」などが該当します。
これらのキーワードで上位表示されれば、売上向上が期待できます。
オウンドメディアで狙うべきキーワード
オウンドメディアで狙うキーワードは、ユーザーが抱える疑問や課題を解決するための「Knowクエリ」や、何かを実行したいと考える「Doクエリ」です。
例えば「商品ジャンル+選び方」「〇〇(悩み)+解決方法」「ライフスタイル+おすすめアイテム」といった、情報収集段階にある人が検索するキーワードが中心となります。
こうしたキーワードで潜在顧客を呼び込み、商品やブランドへの興味関心を高めていくのがオウンドメディアの役割です。
5.コンテンツの骨子を作成する
キーワードが決まったら、いきなり記事を書き始めず、まず記事の設計図となる「骨子」を作成します。
骨子とは、記事全体の構成や見出し、各見出しで伝える内容をまとめたものです。
記事の品質は、骨子で決まると言っても過言ではありません。
骨子の作成では、選定したキーワードで検索するユーザーが「どんな情報を求めているのか」「どんな疑問を解決したいのか」という検索意図を徹底的に分析しましょう。
具体的には、記事のタイトル、導入文、見出し(H2、H3など)、まとめ、そして各見出しで触れるべき内容のポイントなどを設計していきます。
以下のような感じで作成してみてください。


競合サイトの記事構成も参考にしながら、自社ならではの独自の視点や情報、専門家としての意見などを盛り込みましょう。
自社にしかできないない価値を提供できるような構成にするのがポイントです。
6.記事を執筆・公開し記事数を増やす


骨子が完成したら、それに沿って記事を執筆し、公開していきます。
大切なのは、継続的に記事を増やしていくことです。
1記事公開してすぐに成果が出ることは稀で、ある程度の記事数を蓄積することでメディア全体の評価が高まり、検索エンジンで評価されていきます。



検索エンジンで評価されれば検索順位が上がり、アクセス数が増えることで多くの人に見てもらえるようになります。
まずは100記事を目標に、定期的に発信し続けましょう。
7.効果測定と分析に基づく継続的な改善
オウンドメディアの成果を最大化するためには、公開後の効果測定と分析に基づいた継続的な改善活動が欠かせません。
Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを活用し、どの記事が多く読まれているか、どのような経路でアクセスがあるか、ユーザーはどのページで離脱しているかなどを詳細に分析します。
分析結果をもとに、事前に設定したKPIの達成度を定期的に検証し、目標との差異や課題点を明らかにしましょう。
例えば、記事は見られているが商品の購入や問い合わせにつながっていない場合は、記事の内容やCTA(行動喚起)の改善を検討します。
また、A/Bテストを実施して、異なるタイトルや記事構成、デザインなどを比較し、より効果的な表現方法を見つけ出すことも有効です。
計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルを回し続けることで、オウンドメディアの質は着実に向上していきます。



効果測定と分析に基づく改善を繰り返せば、オウンドメディアの成果を最大化できます。
「なかなか効果が出ない…」と悩まれている方は、EXTAGE株式会社にぜひお問い合わせください。
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ECオウンドメディアが特に有効なジャンル


オウンドメディアは様々なジャンルで有効ですが、特に商品の背景にあるストーリーや専門的な情報が購入の決め手となる商材との相性が抜群です。
ここでは、特にオウンドメディアが有効な3つのジャンルを紹介します。
- 雑貨・インテリアショップ
- ファッション・アパレルショップ
- 美容・化粧品の販売
順番に解説します。
雑貨・インテリアショップ
雑貨やインテリアは、機能性だけでなく「どのような暮らしを実現できるか」というイメージやストーリーへの共感が購買を大きく左右するジャンルです。
オウンドメディアを通じて、商品の作り手の想いやデザインのこだわり、生産地の風景などを伝えることで、商品の価格以上の価値を感じてもらえます。
また「北欧風インテリアの作り方」や「狭い部屋をおしゃれに見せる収納術」といったライフスタイルを提案するコンテンツは、読者の関心を引きつけます。
このように、暮らしに寄り添う情報を発信してファンを育成し、ECサイトへの送客につなげられるのが強みです。
ファッション・アパレルショップ
ファッション・アパレル分野も、オウンドメディアとの親和性が高いジャンルです。
サイトを見ている読者は服だけでなく、着こなし方やトレンド、コーディネートなどの情報も求めています。
例えば、季節ごとのトレンド情報や着こなし方がわかる写真、お手入れ方法などを発信すれば、ユーザーは「知りたい」という欲求が満たされ、定期的にサイトを見てくれるでしょう。
特に「低身長でもスタイルアップできるコーデ術」のように、読者の悩みに寄り添ったコンテンツは特に共感を得やすいです。
このようにオウンドメディアは「商品を売る場所」から「ファッションの悩みを解決してくれる場所」としての役割も担ってくれます。
美容・化粧品の販売
美容・化粧品は、多くの人が情報をもとに購入を検討するため、ECオウンドメディアの力を発揮できるジャンルです。
顧客は「自分に合った商品はどれか」「肌荒れしない成分が入っているか」といった疑問を抱いています。
オウンドメディアでは、細かい商品ごとの成分や、正しい使い方など、専門性の高い情報を提供できるのがメリットです。
「敏感肌の方におすすめの保湿ケア」や「20代のニキビ対策」といった具体的なテーマで記事を執筆すれば、権威性や信頼性を高められます。
また、開発者インタビューやブランドのこだわりなども発信すると、製品への信頼感を高め、安心して購入してもらうきっかけにもなるでしょう。
こうした専門的な知識を提供すれば、単なるECショップではなく「信頼できる美容のプロ」としての地位を確立できます。
ECサイトがオウンドメディアを持つ3つのメリット


ECサイト運営者にとって、オウンドメディアの導入はビジネスを成長させるための欠かせない戦略となっています。
導入のメリットは、以下の3つです。
- 中長期的な集客力の強化と広告費の最適化
- ブランド価値向上と顧客ロイヤルティの育成
- 競合との差別化と独自の市場ポジション確立
「ホームページは持っているけど…」という方もいるでしょう。
ホームページとオウンドメディアは、似ていますが「目的」「ターゲット」「更新頻度」が異なります。
詳しくは「オウンドメディアとホームページの3つの違いを解説:目的・対象・更新頻度」を読んでみてください。


ここでは、ECサイトがオウンドメディアを持つことで得られる3つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
中長期的な集客力の強化と広告費の最適化
オウンドメディアは、中長期的な視点でECサイトの集客力を強化し、広告費の最適化に貢献します。
適切なSEO対策を施したコンテンツは、検索エンジンからの自然流入を増やし、安定的な集客基盤を築くからです。
広告に依存した集客は、費用がかさんでしまうことが少なくありません。
一方、オウンドメディアは一度作成したコンテンツが資産となり、継続的に集客効果を発揮するため、広告費用を抑えながら効率的な集客が期待できます。
さらに、オウンドメディアは、まだ購買意欲が明確でない潜在顧客層へもアプローチが可能です。
潜在顧客層に有益な情報を提供することで、徐々に興味関心を高め、将来的な顧客へと育成できるメリットがあります。



情報提供を通じて顧客との関係性を深めることは、顧客ロイヤルティ(信頼や愛着)の向上にもつながります。
ブランド価値向上と顧客ロイヤルティの育成
オウンドメディアは、ブランドの価値を高め、顧客との関係を育む上で重要な役割を果たします。
商品ページだけでは伝えきれない、ブランドの哲学や商品開発の裏側、製品にかける情熱などを発信できるのがオウンドメディアのメリットです。
顧客は、そうした情報に触れると、商品やブランドに共感を抱くようになります。
さらに、商品の使い方や専門知識などを発信し続けることで「このブランドは信頼できる」という認識が生まれるのです。
このようなコミュニケーションの積み重ねが、顧客を熱心な「ファン」へと育て、顧客ロイヤルティにつながります。
競合との差別化と独自の市場ポジション確立
オウンドメディアは競合他社との明確な差別化を図り、自社ならではの独自の市場ポジションを確立するための強力な手段となり得ます。
価格や品揃えといった差別化ではなく、企業独自の専門知識や視点、ノウハウを発信することで、他社には真似できない「個性」を打ち出せるからです。
顧客は特定の情報や専門性を求めてオウンドメディアを訪れるようになるため、その分野における「第一人者」としてのブランドイメージを築きやすくなります。
このように、オウンドメディアは自社の強みを最大限に活かし、顧客にとって唯一無二の存在となるための差別化戦略において有効です。
ECサイトがオウンドメディアを持つ3つのデメリット
ECサイトのオウンドメディアには事前に理解しておくべきデメリットも存在します。
メリットだけに目を向けて導入してしまうと、途中で挫折してしまうかもしれません。
以下の3つのデメリットをしっかり把握し、対策を考えた上で運用しましょう。
- 成果が出るまでに時間がかかる
- 担当者の継続的なリソースが必要
- 効果測定と改善が難しい
順番に見ていきます。
成果が出るまでに時間がかかる


ECオウンドメディアのデメリットは、成果が出るまでに時間がかかる点です。
Web広告のように、出稿すればすぐにアクセスや売上が見込めるわけではありません。
オウンドメディアは、記事を継続的に公開し、検索エンジンに評価されるまで半年〜1年程度が必要です。
この期間は、地道なコンテンツ制作とSEO施策を続ける必要があります。
すぐに売上やアクセス数の増加といった目に見える成果が出ないため、社内からの理解を得にくかったり、担当者のモチベーションが続かなかったりするケースも少なくありません。
オウンドメディアは、短期的な成果を求めるのではなく、長期的な視点でコツコツと育てていく「資産」だと考えましょう。
担当者の継続的なリソースが必要
オウンドメディアを効果的に運用していくためには「担当者の継続的なリソース」が必要です。
コンテンツの企画、執筆、編集、公開、そして効果測定と改善までの一連の作業は、手間と時間がかかります。
特に、質の高い記事を定期的に更新していくためには、専門的な知識を持った人材や、文章力、企画力のある担当者が必要です。
社内にそのような人材がいない場合、新たに採用するか、外部のライターや編集者への委託も可能ですがコストが発生します。



運営業務と兼任する場合、担業務負担が大きくなり、コンテンツの品質が低下したり、更新頻度が落ちたりするリスクも考えられます。
そのため、運用を開始する前に人員体制と予算を確保し、長期的な視点でのリソース配分を計画しておかなければなりません。
なお、内製化と外注の比較については「【負担軽減】SEO対策は外注すべき!内製化との徹底比較3選|費用対効果や外注先の選び方も紹介」を参考にしてみてください。


効果測定と改善が難しい
ECオウンドメディアは、運用開始後も「効果測定と改善が難しい」と感じることがあります。
特に、売上に対してどのくらいオウンドメディアが貢献しているのかを把握するのが難しいと言う方は多いです。
例えば、掲載した記事が読者の購買意欲を高めたとしても、すぐに購入に至らず、別のルートで商品を購入するケースもあります。
どの記事が最終的な購入につながったのかを正確に把握するには、Googleアナリティクスなどのツールを使いこなし、データを読み解く知識が必要です。
効果測定の指標を事前にしっかり設定し、それに応じて改善していかなければ「ただ記事を更新しているだけ」の状態に陥ってしまいます。
ECサイトがオウンドメディア運営で成功した事例【売上197%アップ】


オウンドメディアが売上につながった例として、景品ショップマイルーム様の事例を紹介します。
「景品ショップマイルーム」は、二次会やパーティー向けの景品アイテムを販売するECサイトです。
もともと、オウンドメディアは持っていたものの、なかなかリピートにつながらないという悩みを抱えていました。
そこで、EXTAGE株式会社で支援させていただき、リライトなどの施策を行った結果、以下のような成果が出ています。
- 売上:前年比平均の197%アップ
- ユーザー数:2ヶ月で1.8万→4.3万
- PV数:2ヶ月で8万PV→22万PV(2.7倍)
- 対策したKW:上位10以内にランクイン(対策前は14位)
オウンドメディアを通じてユーザーの検索意図に合致する情報を提供し、集客力を高めたことが、直接的にECサイトの売上向上に結びついた事例です。
ショップのサイトはこちら:景品ショップマイルーム
インタビュー記事もご覧ください。
ECサイトのオウンドメディア成功のコツ
オウンドメディアの成功事例を紹介しましたが、もちろん何も考えずにコンテンツを作成しているだけでは成果につながりません。
メリットを最大化するためには、戦略的な運用が必要です。
ここでは、ECサイトのオウンドメディアを成功に導くための5つの重要なコツを紹介します。
- AIを活用して顧客の行動を分析し導線を最適化する
- 質の意悪い記事を量産しない
- SNSや他のメディアと併用する
- 長期的な視点でメディアを運用する
- 購入につながる自然な導線を設計する
ぜひ、意識してやってみてください。
AIを活用して顧客の行動を分析し導線を最適化する
オウンドメディアを成功させるためには、AIを活用した顧客行動の分析が有効です。
AIを使えば、アクセスデータや購買履歴などから、顧客がどのような情報に興味を持ち、どのような経路でECサイトに行き、購入するのかといった行動パターンを読み解けます。
また「どのような記事を読んだ後に商品ページへ移っているのか」や「どの情報が購買意欲を高めているのか」などが分かれば、購入までの導線の最適化が可能です。
AIを使えばこのような施策が打ちやすくなり、売上アップにつなげやすくなります。
質の意悪い記事を量産しない
かつては記事数を増やす「量」が重視される時代もありましたが、現在のSEOでは通用しません。
Googleは読者の悩みを解決する、専門性や信頼性の高い「質」の高いコンテンツを評価します。
中身の薄い記事をいくら増やしても、読者の信頼を失い、サイト全体の評価を下げてしまう可能性が高いです。



コンテンツが読者にとって「価値ある情報を提供できているか」「信頼できる内容であるか」という点を意識しましょう。
読者が知りたいことを深く掘り下げ、専門的な視点や独自の切り口で分かりやすく解説するような質の高い記事を地道に積み重ねていくことが大事です。
そうすれば、読者の信頼獲得や検索エンジンからの評価向上につながり、オウンドメディアが成長します。
SNSや他のメディアと併用する
オウンドメディアはSEOで評価されるまでに時間がかかるため、立ち上げ初期はなかなかアクセスが集まりません。
そこで役立つのが、SNSやメールマガジンといった他のメディアとの連携です。
新しい記事を公開したら、XやInstagram、Facebookなどで積極的にシェアし、既存のフォロワーや顧客に情報を届けましょう。
SNSは、情報拡散のスピードが速く、ユーザーとの双方向なコミュニケーションが取りやすいという特性があります。
公開した記事をSNSで紹介し、興味を持ったユーザーをオウンドメディアへと誘導する、といった導線にすると効果的です。



メールマガジンやプレスリリースなども活用し、各メディアの強みを活かしながら相互に補完し合えば、単体で運用するよりも効果があります。
長期的な視点でメディアを運用する
オウンドメディアは、短距離走ではなくマラソンです。
成果が出るまでに時間がかかるのを前提に、腰を据えて取り組みましょう。
数ヶ月で目に見える結果が出ないからといって、すぐに諦めてしまっては、それまでの投資が全て無駄になってしまいます。
「半年で土台を作り、1年で成果を出す」といった長期的な目標を設定し、日々のアクセス数や順位の変動に一喜一憂せず、継続的にコンテンツの作成と改善を続けましょう。
コツコツと続けた先に大きな果実が待っています。
購入につながる自然な導線を設計する
オウンドメディアの最終的な目的はECサイトの売上向上です。
しかし、コンテンツ内で商品を無理に売り込むのは逆効果となります。
読者はあくまで情報を求めて訪れているため、過度なセールスは敬遠され、サイトからの離脱につながる可能性が高いです。
読者の悩みを理解した上で「悩みの解決策のひとつとして、この商品がありますよ」と提案すると、自然に購買につながります。
例えば、スキンケアのやり方を紹介する記事の場合、解説記事の最後に「お悩み別のおすすめ商品はこちら」と関連商品をいくつか紹介する形です。
読者の満足度を最優先に考え、役立つ情報を提供した先に解決策を用意するような、丁寧な導線設計を心がけましょう。
ECサイトのオウンドメディア運用時の課題と乗り越えるためのヒント
オウンドメディアの運用は順風満帆に進むとは限りません。
多くの企業が、運用途中で様々な壁にぶつかるでしょう。
しかし、課題を事前に把握し、対策を準備しておけば、困難を乗り越え、成功の確率を高められます。
ここでは、代表的な4つの課題とその解決策のヒントを見ていきましょう。
- コンテンツ作成・運用リソースの不足
- 効果測定・分析の難しさ
- コンテンツの質の担保
- SEO効果の最大化
対策のヒントにしてみてください。
コンテンツ作成・運用リソースの不足
ECオウンドメディア運用で多くの企業が直面するのが「コンテンツ作成・運用リソースの不足」という課題です。
記事を定期的に更新し続けるには、テーマ選定から執筆、編集、公開作業まで、相応の時間と労力が必要です。
特に、通常のEC運営業務と兼任している場合、担当者の負担が大きくなり、コンテンツの質や更新頻度が低下してしまうケースも少なくありません。
この課題を乗り越える解決策としては、いくつかの方法があります。
・外部の専門ライターに記事作成を依頼する
・コンテンツ管理システム(CMS)を導入して運用効率を高める
一つは、外部の専門ライターや記事制作代行業者に記事作成を依頼することです。
プロに任せれば高品質な記事を効率的に確保できます。
もう一つは、コンテンツ管理システム(CMS)を導入して運用効率を高めることです。
例えば、WordPressのようなCMSは、記事の公開スケジュール管理やSEO設定、編集作業などを簡易化し、チーム全体の作業負担を軽減するのに役立ちます。
効果測定・分析の難しさ
「効果測定・分析の難しさ」も、オウンドメディア運用でよく聞かれる課題です。
どの記事がどれだけのアクセスを集め、それがECサイトの売上にどう貢献しているのか。
また、どの施策が効果を上げているのかを正確に把握できなければ、次の改善策が立てられず運用のPDCAサイクルがうまく回らなくなります。
特に、間接的な効果を可視化するのは難しいと感じるかもしれません。
・アクセス解析ツールの導入
この課題を克服するためには、Google Analyticsのようなアクセス解析ツールを導入し、記事ごとのPV数や滞在時間、コンバージョン数などを詳細に分析できる環境を整えましょう。
その上で「ECサイトへの流入数〇件」「特定商品の売上〇円」といった、オウンドメディアの目的と連動する具体的なKPIを設定し、定期的に効果を測定する習慣をつけると良いです。
数値に基づいた改善を繰り返せば、メディアの成果は着実に向上していきます。
コンテンツの質の担保
オウンドメディア運用において「コンテンツの質の担保」は重要な課題です。
質の低いコンテンツを量産してしまうと、読者の期待を裏切り、かえってブランドイメージを損なう可能性があります。
また、検索エンジンも質の低いコンテンツを評価しないため、いくら記事数を増やしても検索上位表示はされません。
・編集体制を整える
・場合によっては外部委託も検討
コンテンツの質を維持・向上させるためには、まず編集体制をしっかりと整えることが大切です。



具体的には、記事の品質基準や表記ルール、レギュレーションなどを定めた「スタイルガイド」の作成をおすすめします。
作成しておくと、複数のライターや編集者が関わる場合でも、記事のトーン&マナーや専門用語の使い方が統一され、一貫性のある高品質なコンテンツの提供が可能です。
定期的な校正・校閲のプロセスを設けることも質の担保には欠かせません。
どうしても質の高い記事が書けない場合は、外注化も検討する必要があります。
SEO効果の最大化
「SEO効果の最大化」という課題も、ECオウンドメディアを成功させる上で避けて通れません。
SEOの知識は専門性が高く、Googleのアルゴリズムは常に情報がアップデートされるため、常に最新のトレンドをキャッチアップし続ける必要があります。
また、SEO効果を最大化するためには、キーワード選定やコンテンツの構造、被リンク対策など多くの要素を総合的に考慮しなければなりません。
・常に最新情報をキャッチアップする
・SEOコンサルタント会社に協力してもらう
自社だけでこれらの複雑なSEO対策に完璧に対応するのが難しいと感じる場合は、外部のSEOコンサルタントや専門会社の協力を得るのが有効な解決策です。
プロの知見を活用すれば、最新のSEO戦略に基づいた最適な施策を実行できます。
また、社内でSEOの知識を習得する機会を設けたり、書籍やオンラインセミナーを活用したりして、担当者のスキルアップを図るのも長期的な視点で見れば有効です。
なお、EXTAGE株式会社では、多くの実績を出してきたSEOのプロ集団が在籍し、サイトの立ち上げから運営、リニューアルまでSEOに関するすべての悩みを解決します。
SEO対策でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
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